ひとしきり料理が終わって。

 ぼんやりしたままテーブルに並べているときに。


「ただいま」


 要くんの声。


「あ…おかえり」


 反射的に玄関まで出迎える私。


「ただいま、唯衣」

「おかえり…要くん」

「すげーイイ匂い。夕飯作っててくれたんだ?」

「うん… ちょうど今できたとこだから、すぐ食べれるよ」

「お、ラッキー」


 会話して。

 
 ベッドルームのほうへ行った要くんが、荷物を整理したり服を片付けたりしているのを、ぼうっと見ていた。


 

 テーブルを挟んで、二人で向かい合って座る食卓。


「んまい」


 口を膨らませて美味しそうにご飯を食べる要くんを見ながら、

 私も、微笑みながら箸を運んだ。


「唯衣はホント、料理上手だよな」

「へへ…ありがと」

「明日どこ行きたいか、何か考えた?」

「え? あ、ううん、考えてなかった」

「そっか。うーん、どこ行こうか」


 満足そうに箸をすすめる要くんの姿は。

 いつもの、要くんで。

 なんにも…

 付き合い始めたころから、なんにも…変わってないように見える。

 
 カッコよくて。

 優しくて。

 私に、いろいろ教えてくれた人。


 そう。

 私は、この人の彼女。


 要くんが私を構ってくれてる限り、

 要くんの、恋人。


 それで、いいじゃない。

 なんにも…問題なんてない。


 そうでしょ?