「ごめんな、言ってなかったっけ?」


「うん…聞いてない」


「ホントごめん。まあ、正確にはたぶん25日くらいだからさ」


 
あのぉ……

 
25日も一ヶ月も、さほど変わりませんよ? 要くん?



「連れてってやってもいいんだけどさ、あんまり知らないヤツらの中にいるのも、唯衣が疲れるだろ?」


「う、うん、まあ」


「部屋も、集まってる連中だけでいっぱいだろうし」


「そうだよね…」


 
ああああ、神様!

 
この試練、一体なんですか?

 
私は、少しでも要くんと一緒にいたいのにっ!

 
今ちょうど、いい感じの二人なのにーー!


 
大事な大事な夏休みがぁぁぁ……


 
凹。



「帰ってきたらさ、ちゃんとかまってやるから」


「うん…」


「残りの日は、ずっと一緒にいれるようにしとくから」


「うん…」



ぎゅうっと、要くんに抱きしめられて。

 
トロケソウ……


 
耳元にキスされて。

 
首筋にも唇を落とされて。

 
 
降参。



 
ゆっくり深いキスを受けて。

 
頭を撫でられれば。



「待ってるね」



素直な返事、返していた。