ライアスの説明にセネリオは苦笑すると「アリエルと一緒でなければ、目立たないのか」と、呟く。
セネリオが発した何気ない発言に、ライアスは過敏に反応を示す。
このままでは、折角仲良くなったアリエルと出掛けなくなってしまう。
そして、再び引きこもりの生活に戻ってしまったら一大事。
焦ったライアスはあれこれと言い、セネリオの考えが変わらないようにするが、途中で意味が通じない言葉に変化してしまう。
面白い言い方をしているライアスに、セネリオは大笑いすると「何を言いたいのかわからないので、落ち着いて話して欲しい」と、頼むのだった。
「いえ、いいです」
「そう?」
「……はい」
これ以上言っても無理――というか自分が混乱してしまうと判断したのだろう、ライアスは説得を諦めてしまう。
それでも情熱は伝わったらしく、アリエルと出掛けることは止めないと約束する。
セネリオの発言にライアスは胸を撫で下ろし、いい関係に発展することを願う。
「ところで、女性って猫が好きなんだ」
「どういう意味でしょうか」
「アリエルが、興味を持っていた」
「そうでしたか」
「飼いたいのなら、飼えばいいのに」
「遠慮しているのでしょう」
「遠慮……ねえ」
猫を飼いたいのなら飼えばいいと思っているセネリオにとって、アリエルの言動は意味不明だった。
余程の生き物でなければ、飼育は反対されない。
だから今すぐに猫を飼うことは可能なのだが、アリエルはそれをしようとしない。
それどころか、いけないことと考えている。
「セネリオ様の口から、直接言えばいいことです」
「飼っていいと?」
「はい」
「そうだな……アリエルは、遠慮しがちだ。もっと他の者のように、我儘を言っていいと思うけど……」
これこそが、セネリオがアリエルに対して抱いている感情なのだろう、彼女に出会い確実にセネリオの心情は変化しつつあった。
ふと、何か重要なことを思い出したのか、セネリオは甲高い声を上げると、ライアスに別の惑星(ほし)へアリエルと一緒に遊びに行くことを伝える。


