「捕まる……のですか?」
「監禁はしない」
体内に監視専用の機械を埋め込んであるので、そのようなことまではしなくてもいいとセネリオは考える。
またスパイ疑惑も完全に晴れたわけではないので、ある程度自由に動いてもらった方が、何かと都合がいい。
もし未開惑星の住人ではなくスパイだったら、隙を見て外部と連絡を取る。
それなら、軟禁がいいか――
セネリオは明後日の方向を向き、渋い表情を作る。
ふと、思い出したのはアリエルの以前の仕事。
侍女として生活を送っていたのなら、同じ侍女の仕事をさせるのもいいと判断する。
それに侍女長のセリナは優秀な人物で、また観察眼に長けている。
アリエルが不審な行動を彼女が取ればいち早く察知し、報告に至るだろう。
アリエルを侍女として働かせるとライアスに言うと、一瞬いい表情を作らなかった。
だが、側にいて指導を行うのがセリナと聞くと、セネリオの意図を察したのか頷き返してくる。
「お仕事、して宜しいのですか?」
「監禁されたい?」
「い、いえ」
「それなら、侍女として働くといい。ただ、言ったように監視はする。君は、わからない部分が多い」
「……わかりました」
「そうやって、素直にしてくれると助かる」
そう言いつつセネリオは椅子から腰を上げると、セリナを呼び一通りの説明を行う。
セネリオの説明に一瞬セリナの眉が動くが「クレイドの命令」と言い、素直に受け入れてくれた。
一方セネリオは父親のもとへ再度向かうと、自分が決断し下した内容を細かく話していく。
それに対しアゼルは「いいのではないか」と、息子の下した内容を評価する。
そして、当のアリエルは――
世界の在り様を知る。
◇◆◇◆◇◆
セリナに案内され、アリエルは研究所の中を見学する。
彼女にとってあらゆる物が新鮮に映り、見たことのない物に驚きを隠せないでいた。
特に彼女が驚愕を覚えたのは、女性のスカートの短さ。
踝が隠れる丈が一般的だったアリエルにとって、膝上のスカートは衝撃的。


