なら、どれくらいの文明レベルか。
風呂に入った時、機械の存在に驚いていたので結構文明レベルが低い惑星とセネリオは読む。
案の定、セネリオの読みは正しく、アリエルが暮らしている世界には機械は存在せず、移動は徒歩か馬車を用いているという。
まさに未開惑星と呼べる状況に、セネリオは苦笑する。
「馬車……か」
「この国には、ないのですか?」
「無い」
「では、どのように移動を?」
「特別な方法だ」
「それは?」
「後でわかる」
馬車がなければ、どのような乗り物を用いているのか。
セネリオの言葉にアリエルは思考を巡らせるが、高文明の知識を持ち合わせていないのでいくら考えても正しい結論に至らない。
あれやこれやと考えを巡らしているアリエルの姿にセネリオは、鋭い視線を向けた。
まさか、ここまで――
それが、セネリオの本音。
ある程度の文明レベルの低さは覚悟していたが、これほどの差がある世界となると別の問題が生じる。
低い文明レベルの世界から高い文明のレベルに来た時、果たして適応できるのだろうか。
いや、下手に適応してしまえば元の世界に帰ることができなくなってしまう。
セネリオが真剣な面持ちでアリエルの処遇を考えていると、友の表情から何かを感じ取ったライアスが声を掛けて来る。
それは今聞いた出来事について、どのような結論を出すかというもの。
ライアスもセネリオ同様に「未開惑星の住人」の部分に引っ掛かっているようだ。
「他言無用」
「エドナには?」
「勿論、同じだ」
「しかし、いつか――」
「その時が来たら、話す。それに分析結果が出れば、どちらが正しいのか結論を出すことができる」
それに対しライアスは何も答えることはせず、ただ軽く頭を垂れるのみであった。
ライアスがセネリオに対し敬語を使い恭しい態度を取っていることに、アリエルは二人の間に主従関係が存在していることを瞬時に見抜くと、この国にも王族がいるのかオドオドと尋ねる。


