巡り合いの中で



 シャンプーやリンスも知らなかったらしく、液体が泡に変化することさえも驚いていたという。

 セリアの話にセネリオとライアスは唖然となってしまい、言うべき言葉が見付からない。

 一方、完全に硬直している二人にセリナは「本当に現代人でしょうか」と、正直な感想を述べる。

「と、言うのは……」

『多少、文明レベルが低い場所から来たとしても、これほど知らないことはないと思われます』

「なるほど」

『ですので、それ以下から……』

「未開惑星か」

『で、出過ぎた意見を――』

「構わない」

『それとご命令通り、洋服を用意しました。と申しても、用意できるのは侍女服になってしまう』

「いや、それでいい。で、会えるか?」

『勿論です』

「侍女室の前でいいか」

『お待ちしております』

 セリナの言葉にセネリオは頷くと、通信を切る。

 横で二人の話を聞いていたライアスは、ますます正体が掴めなくなってしまったアリエルの存在が気に掛かる。

 それ以上にセリナとの話で出た「未開惑星」という部分が引っ掛かったのだろう、セネリオからの意見を待つ。

「未開惑星の定義……わかっているな」

「勿論です。未開惑星とは、一定水準の文明に達していない惑星を指示しています。そして有人飛行で宇宙に出るだけの科学力を有し、己の暮らす惑星外の存在を認識していることです」

「そして、干渉不可だ」

「それは、進化を妨げるから……と」

「未開惑星の者に高文明の技術と与えてもいいが、彼等にとってはオーバーテクノロジーになってしまう。それ以前に、それだけのモノを理解するだけの能力が備わっていない。何も知らない者が、それらをどのように扱う。下手をすれば、文明そのものを終わらせてしまう」

 だから一定水準に達していない惑星は「未開惑星」と位置付けられ、保護と監視の対象となっている。

 これは各惑星に適応する条約で決められていることで、他をねじ伏せるほどの実力を持つイシュバールとはいえ破るわけにはいかない。

 しかしアリエルが未開惑星の住人となると、聊か問題が生じる。