巡り合いの中で


「意味が……」

「わからないのか?」

「……はい」

 衝撃とも取れる発言に、反射的にセネリオとライアスは互いの顔を見合わす。

 今の時代「惑星」という単語を理解できない者がいることは有り得なく、ライアスは少女が嘘を付き誤魔化しているのではないかと指摘する。

 その指摘に少女は頭を振ると、本当に知らないと話す。

「記憶喪失でしょうか」

「それは、検査してみないとわからない。なら、他の質問をする。この場所に、どのように来た。裏に、何人いる」

「この場所には……」

 何か言い掛けようとしたが途中で言葉を止め、少女は周囲に存在する物体に視線を合わす。

 視界に映り込むのは見たこともない代物で、今どのような場所にいるのは把握しづらい。

 また言葉の端々に見え隠れしている感情によって、彼等が好意的ではないと雰囲気で理解する。

「わ、私は……人を捜していて……」

「人?」

「主人です」

「誘拐か?」

「それはわかりません。突然、消えて……」

「その主人とは、地位がある者か?」

「姫様です」

 〈姫〉という単語に、セネリオは回答を求めるようにライアスを一瞥する。

 その仕草に瞬時に何を意味しているのか理解したライアスは、姫君の誘拐の話は耳にしていないと伝える。

 それにそれほどの事件が発生すれば大事なので、セネリオの耳に届かないわけがない。

 しかし、そのような話は――

 だが、捕まってしまった今嘘をつき続けるのは得策ではない。

 また、嘘をつき続けるというのならセネリオは好まないが、医師達は真実を聞き出そうと薬を用いるだろう。

 そのようなことをしたくないからこそ、セネリオはどのような方法を用いてこの場所に来たのか問う。

「雷に打たれ……」

 途切れ途切れに語るのは、自身の身に起こった出来事。

 主人を捜しに行く途中で雨に降られたので、巨木の下で休憩していた。

 休憩後出発しようとしたら転んで足首を怪我し、その時雷が鳴り響く。

 其処で意識がいったん途切れ、目を覚ましたらこの場所にいた――と、語っていく。