巡り合いの中で


 骨密度の件といい、外見と内面は不可解な点が目立つ。

 やはり事情聴取を行わないといけず、裏に隠れている犯人像の他に少女がどのような暮らしをしていたのか尋ねないといけない。

 そしてライアスが言ったように、事情聴取後に少女を風呂に入れ綺麗にしないといけない。

「クレイド!」

「どうした」

「少女が……」

「目を覚ましたか」

「はい」

 医師の言葉に、セネリオとライアスは同時に少女に視線を合わす。

 一方少女は目覚めたばかりなので視線が定まらないのだろう、空中に視線を這わしている。

 すると徐々に視界が鮮明になってきたのか、少女の視線がセネリオの視線と合った瞬間、か細い悲鳴を発する。

 一体、この場所は――

 自分が置かれている状況が掴めないらしく、動揺を隠し切れない。

 また、逃げ出そうとしているのか、カプセルの蓋の部分を何度も叩くが、女性の腕力で壊せる代物ではない。

 落ち着きのない少女に医師は強制的に落ち着かせようと薬を用意するが、セネリオが寸前で止める。

「聞こえるか」

 相手を威圧するかのような低音の声音に、少女の身体が微かに震えている。

 続いて発した言葉というのは「言葉が通じるか」という確認で、どうやら言葉が理解できるらしく少女が頷き返す。

 意思疎通ができることを確認したセネリオは、医師に事情聴取を開始すると話す。

「できましたら、手短に――」

「検査か?」

「はい」

「わかった」

 どのような方法を用いてやって来たのか少女から聞き出さないといけないが、目覚めたばかりの肉体に負担を掛けるわけにはいかないので、今回は医師の言葉を優先する。

 セネリオの了承に医師は頭を垂れると、邪魔になってはいけないとその場から立ち去ることにする。

「いくつか尋ねる」

 セネリオの質問というのは、イシュバールに侵入した方法と理由。

 また、裏に何人いてどの惑星の者なのか。

 そして、一体何を仕出かそうとしているのか。

 しかし質問の意図が理解できなかったのだろう、少女は首を傾げるしかできず、それどころか「惑星?」と、聞き返してくる。