ふと、ミーヤが前脚でセネリオの脚を叩く。
その不可思議な行動にセネリオは「何?」と尋ね、しゃがみ込む。
「多分、遊んでほしいのかと……」
「そうか」
「本当でしたら、私が遊ばないといけないのですが……ミーヤには、寂しい思いをさせています」
「今は、ゆっくりと休まないといけない。考え過ぎ……ってのもあるけど、疲れが溜まっていたんだよ」
「はい」
いつもであったら瞬時に否定の言葉を言うアリエルであったが、今日は素直にセネリオの言葉に従う。
アリエルの素直さに、セネリオは「それでいい」と呟くと、ミーヤを抱きながら、近くの椅子に腰を下ろす。
そして膝の上にミーヤを置くと、優しく身体を撫で、時折喉元を擽る。
また、完全に身体から力が抜けていた。
撫でられ気持がいいらしく、ミーヤが喉を鳴らす。
ミーヤがセネリオに懐いていることにアリエルはクスクスと笑うと、自分以外でこれほどミーヤが懐くのははじめてと、セネリオに伝える。
「そうなんだ」
「といって、他の人達を嫌っているわけではないです。何と言いますか、こんなに寛いでいて……」
「生き物に嫌われるより、好かれる方がいいよ。中には、好かれては困る生き物もいるけど」
「そうなのですか?」
「惑星(ほし)が複数存在するように、生き物も多種多様だったりする。見た目が可愛い奴もいれば、そうでない奴もいる。また、大人しい奴もいれば、そうでない奴も……色々という感じかな」
アリエルは、セネリオの話を真剣に聞き入る。
考え過ぎて高熱を出したというのに、彼の話は面白く興味が尽きない。
だからこのような話をされると、食い付いてしまう。
それだけ、アリエルの知らない世界への興味は尽きない。
「あの時の生き物は……」
過去を思い出し、セネリオは語っていく。
その生き物と出会ったのは、仕事でとある惑星に行った時。
見た目は可愛らしかったので戯れようとしたが、見た目に反して凶暴そのもの。
セネリオは知識が豊富であってもそちらの方面は疎かったのが、油断の原因となった。


