だから、その惑星の文明水準が上がったら――
と、セネリオは更に付け加えた。
いつか、アリエルが暮らしていた惑星とイシュバールが交流を持つ時代が来ればいいが、それがどれくらい先になるかわからない。
いかんせん馬車や徒歩で生活し、明かりは蝋燭を使っている。
人工の明かりは蝋燭より眩しく、あらゆる物を鮮明に映し出す。
それに、空まで飛んでいる。
それらを総合すると、遥か先になってしまう。
しかし、いつか――
そう、アリエルは願う。
文明水準の違いについて考えていると、眠気が襲ってくるどころか、ますます冴えわたってしまう。
身体は疲れているので休まないといけないが、このままでは朝を迎えてしまう。
どうすればいいか。
考えれば考えるほど、冴えてしまう。
(ど、どうしよう)
このままでは、明日に差し支える。
それでも、眠れない。
あれこれと難しいことを考えなければよかったと後悔するも、考えてしまったのだからもう遅い。
それに目を閉じ「眠れ」と言い聞かしても、その言い聞かせが逆効果になってしまう。
そのままベッドに横になり、朝を待つ。
勿論、身体に多大なる影響を与えてしまった。
◇◆◇◆◇◆
「アリエルが、風邪?」
「はい。その用で……」
「何で?」
「そのように、聞かれましても……」
「昨日は、あんなに元気だったのに? 雨に当たらないようにしたけど、何がいけなかったのか……」
侍女からの報告に、セネリオは仕事の手を止め首を傾げる。
そもそも侍女が嘘を付く理由はなく、これは本当のことだろう。
それに今、アリエルは高熱で寝込んでいるという。
他の侍女達が看病しているので心配ないというが、寝込んでいるというのなら話は別である。


