「御免ね」
と、一言呟いて――
アリエルの言葉にミーヤは、再び猫ちぐらの中で丸くなる。
ミーヤが大人しくしていることを確認すると、アリエルは毛布を捲りベッドに横になることにした。
空調が整えられ、尚且つベッドに潜り込めば温かい。
イシュバールに来てアリエルは、夜の寒さに震えることはなくなった。
それにベッドはスプリングが効いているので、長時間寝ていても身体が痛くない。
ベッドの横にある機械を弄り、消灯する。
そして、目を閉じた。
(……眠れない……かも)
いつもであったらすぐに眠気が襲ってくるのだが、今日に限ってなかなか寝付けないでいた。
これもセネリオに宇宙に連れて行ってもらったことが影響しているのか、思い出されるのは神秘的な漆黒の空間。
(……凄かった)
まさか、自分があのような場所で暮らしていたとは――
宇宙に出たことにより、アリエルが持っていた価値観が一変する。
同時に、自身の無知を知る。
世界は水平ではなく、丸い。
そして、大地を中心に天が動いているわけではない。
更に宇宙には、沢山の惑星が存在する。
セネリオと出会わなければ、狭い世界の中で一生を終え、世界が物凄く広いとは知らないままだった。
いや、驚きは他にも存在する。
自分達はそれ相応の文明を築いて、生活していると思っていた。
しかしこの世界はその上をいき、一時期「魔法」と勘違いしていた機械類は、セネリオ達人間が作製した物であった。
上には上が。
それに生まれ育った惑星は「未開惑星」と呼ばれる中に含まれ、文明が発展するのを待つレベル。
馬鹿にされている。
と、思わなかったら嘘になってしまうが、後々セネリオから理由を聞いて納得することができた。
不用意な干渉を避け、彼等が成長してくれるのを待つ。
その惑星の住人に期待しているからこそ、見守る方法を選択する。
それに本当に馬鹿にしているのなら、説明さえしない。


