アリエルの感想にセネリオはクスっと笑うが、決して大笑いをして相手を馬鹿にすることはしない。

 セネリオは高文明の中で生活し、正しい情報を知っている。

 一方アリエルは文明水準が低い場所からやって来たので、正しい意味での宇宙の在り様を知らない。

 知らないからこそ、セネリオの話に混乱してしまった。

 だからこそ、この世界がどのような姿をしているのか教えたかった。

「説明もいいけど、自分の目で見た方がいい」

「大丈夫ですか?」

「何が?」

「どのように空へ行かれるのですか?」

「安全な方法がある。一般の人も普通に行ける場所だから、そんなに心配することはないよ」

 セネリオの言葉に、アリエルは素直に頷く。

 勿論、どのような場所へ連れて行かれるのかあれこれ想像してしまうが、信頼しているセネリオがおかしな場所へ連れて行くことはないと自分自身に言い聞かせる。

 それに生活に余裕が出てきたせいなのか、知らないことを知ることは面白いと、思えるようになってきた。

「宜しくお願いします」

「そんなに、改まらなくていいよ。アリエルを連れて行きたいと思ったから、君を誘ったんだ」

「その……何故、私が……」

「前も言ったように、物事を素直に言ってくれるから有難いんだ。それに、話し易いし誘い易い。あとは知らないことが多いから、色々な場所を見て勉強してもらいたいってことかな」

「ライアスさんは?」

「あいつは、仕事が忙しい。いくら護衛軍に所属しているとはい、個々の訓練とかがあるから。それに、命令というかたちで友を縛り付けたくないし、誘ってばかりでは立場を悪くする」

 訓練も仕事のうちで、日々の訓練を怠ってしまえば護衛の役割を果たすことができなくなってしまう。

 ライアスもアリエル同様「付き合い易い」という理由で、半強制的に所属を変更させた。

 そのような背景も関係し、下手なことを行ってライアスが除隊になってしまったら一大事。

 だからライアスの立場も考えつつ、時折一緒に何処かに出掛けたりしている。

 以前のセネリオであったら、ライアスがいない時も自由に出掛けていた。

 しかし今はアリエルがいるので、彼女を誘う。

 その気持ちはライアスと一緒にいる時の心情とは、明らかに違っていた。