「有難うございます」
「礼はいいわ。早く、行きなさい」
「は、はい」
アリエルはミーヤを抱きかかえながら、足早にセリアの前から立ち去る。
その慌ただしい行動に、セリアは表情を綻ばせていたが「ミーヤに食べ物を――」という約束を守る為に、部屋を後にする。
そして猫が食べても問題ない食べ物をアリエルの部屋に運び、ミーヤに与えた。
どれもこれも美味しい食べ物に、ミーヤは満足そのもの。
嬉しそうに食べているミーヤの姿にアリエルは一喜一憂し、沢山の食べ物を用意してくれたセリアに心から感謝する。
アリエルの感謝の言葉に、セリアは頭を振ると「自分ができることをしたまで」と、謙遜した。
「いえ、私だけではこれだけの量を……いつも足りなくて、ひもじい思いばかりさせていました」
「少し食材が減っていると耳にしましたが、貴女だったのですね。もっと早く、言って貰えれば……」
「なかなか言い辛く……」
「他に隠し事は?」
「あ、ありません」
「また、困ったことがあったら、すぐに私に言いなさい。大事になってしまったら、面倒よ」
「はい!」
「それと、先程言ったように登録を忘れずに済ませること。登録さえ澄ましてしまえば、堂々と飼うことができます。その子も、いつも部屋の中に閉じ込められていたら、可哀想よ」
セリアの話に、アリエルは頷く。
素直で物分かりのいいアリエルにセリアは満足そうな表情を浮かべつつ退室すると、彼女は騒ぎの理由を説明しにアゼルとセネリオのもとへ向かった。
当初、ミーヤの飼うことを反対されると考えていた。
また、手放さないといけないと恐れた。
しかしセリアの説明で、正式な手続きを踏んで登録をすれば、このままミーヤを飼うことは可能となる。
「一緒に、いられるね」
食べ終え満足しているミーヤを抱き上げると、嬉しさのあまり頬を摺り寄せる。
するとミーヤも主人の気持ちを理解したのだろう、同じように擦り寄り甘えだす。
ミーヤの柔らかい毛がくすぐったいのか、アリエルは声を上げて笑い、ミーヤとひと時の楽しい時間を過ごした。


