巡り合いの中で


 それにライアスの本音の中には、セネリオを共に思いっ切り遊びたい――という思いもあった。

「で、どこの惑星(ほし)でしょうか」

「まだ、決めていない」

「セネリオ様の立場と性格を考えますと、プライベート感たっぷりな場所が宜しいかと……」

「その性格って何だ」

「プライベート時、邪魔すると怒りますので」

「まあ、邪魔されると……」

「ですので、有名な場所は除外した方が宜しいかもしれません。それに、セネリオ様は有名ですので……」

 ライアスの指摘に、セネリオは押し黙る。

 確かに、ライアスの言い分は一理あった。

 イシュバールのセネリオの名前は有名――というか、その道では知らない人がいないほどである。

 そのセネリオが近くにいるとなれば、直接依頼を頼みに来る者もいるだろう。

 そうなればプライベートの休日は潰れ、ストレスは倍増。

 その結果、何が起こるか――

 どちらかといえば、ライアスはそちらを恐れた。

「おすすめは?」

「場所は、セネリオ様にお任せします。このようなことに関しては、お得意のようですから」

「最近、口が悪くないか」

「いえ、そのようなことは……」

 ライアスはきっぱりと否定しているが、確実に彼が発する言葉に毒が混じりつつあった。

 これもまた互いにいい友人関係を築いている証拠であり、上辺だけの言葉で取り繕っているわけではないとわかる。

 それにすました表情で言っていながら、ライアスの口許が緩んでいることを見逃さなかった。

「そこまで言うのなら……」

「ハッキングは、しないで下さい」

「今回はやらない」

「では、以前はやられたのですね」

「いちいち、揚げ足を取るな」

 指摘に対しセネリオは間髪いれずに反論するが、思い当たることが多々あるのだろう、その先の言葉が続かない。

 ウイルス作成同様、ハッキングはセネリオの困った趣味のひとつ。

 彼の性格上やらないわけがなく、それを知っているからこそライアスはその点を追求した。