「珍しいですね」
「気分転換だよ」
「宜しいのではないでしょうか」
「反対しないんだ」
「先程申したように、セネリオ様は仕事以外滅多に外出をなさりません。ですので、特に反対は……」
ライアスは敢て、その先を言うことはしなかった。
「アリエルと一緒に行く」に対し、反対する者はいないだろう。
それどころか「どうぞ行ってください」と、後押しするかもしれない。
しかしセネリオの立場が立場なので、流石に二人で行かせるわけにはいかない。
といって複数の護衛――もとい、監視役がいたら落ち着くことはできないだろう。
それどころかセネリオの機嫌が悪くなってしまい、いい雰囲気になりつつあるアリエルとの関係にヒビが生じてしまう。
無意識にセネリオから視線を逸らし、明後日の方向を向きながら考え事をしているライアスに、セネリオは首を傾げると「何を考えている」と、尋ねる。
それに対しライアスは苦笑い浮かべるが、自分が何を考えていたのか、そのことについて話すことができなかった。
「護衛か?」
「は、はい」
「やっぱり」
「も、申し訳ありません」
「何故、謝る」
「本当でしたら、お二人で……」
「構わない」
セネリオが行こうとしている惑星(ほし)は、危険な場所ではないので特に心配することはないが「万が一」も考えられるので、護衛を付けないわけにはいかない。
そのことを理解しているからこそ、護衛を付けられることをセネリオは拒むことはしない。
ただ、ひとつだけ条件を提示する。
「お前も一緒だ」
「勿論です」
「有難う」
「あと、彼女も連れて行くか」
唐突過ぎる発言に、ライアスの身体が硬直してしまう。
セネリオが言う「彼女」というのは、勿論ライアスの恋人のことを示す。
セネリオの提案にライアスはあたふたしながら、どうして恋人を一緒に連れて行かないといけないのか――その考えに至った理由を質問していた。


