名前も知らない君を


ちょうど良いタイミングで私の乗るバスが来る。
今日の練習はハードだったため、
座席が空いていることを願っていた。


しかし、いざ乗ってみると、
満員では無いが、
座席は全て埋まっていた。
諦めて中央付近のポールに掴まる。




バスが発車し、しばらくすると
疲れからか猛烈な眠気に襲われた。
こく、こく、と
立ちながら船を漕いでいると、
バスが停まった反動で頭が勢いよくポールへ直撃する。

「いた!」
ゴン、と鈍い音と痛みと共に
自分の声で目が覚める。