「さて。ひなちゃん。教えてごらん?」


お昼休み。お弁当を広げながら
怖いくらい綺麗な笑顔の由麻。


「見て、今日お母さんが作ってくれたの。」

「はぐらかさないの。」
ピシャッと言われ、諦める。


「はい。話します。」

「よろしい。」


私は、昨日中山先輩に会ったこと、
それからもやもやしていること、
朝のバスでもあって、お金を貸してもらったこと、サッカーをしている中山先輩がかっこよかったこと、
全て隠さず吐き出した。


「でね、もやもやしてるんだけど、中山先輩のこと考えたら、胸がきゅーーっとして痛いの。けど、不思議と心地よい痛みでさ。」


「ふぅん、そんなことが。
ふふ。良かったね、ひな。ようやく初恋だね。」


はつこい、ハツコイ、初恋。
一瞬、私の思考回路が固まる。


「初恋?! 恋?! 何でそうなるの!」

「あら?気付いてないの?どう考えても恋でしょーが。」

しれっとしたように答える。



「えええ。だってさ、こんな一目惚れみたいなことある?普通。」

「あるでしょ。はあ、ひなが恋かぁ~。お母さん嬉しい。」

「あはは、いつからお母さんなったの。」

由麻のふさげに笑ってしまう。