「お取り込み中悪いんだけど、遠藤、邪魔!!俺が座れんわっ!」
「あら、立っておけばいいじゃない~」
まるで、語尾に音符がつきそうなほど
由麻がご機嫌に答える。
「はあ?!嫌だし!朝練終わって疲れてんだよ。」
「神崎、サッカー部だっけ?」
「えっ、神崎くん、サッカー部なの?!」
つい、大きな声を出してしまった。
「え、ああ、そうだけど。」
私の大きな声に驚いている。
「どうしたの、ひな。大きな声出して。」
「あ、ううん。大したことないんだけどさ、えっと、あの、な、中山慎吾先輩って分かるかな~?って思って。」
「慎吾先輩なら、うちの部のエースだけど。」
「え!エースなの?! すごっ。」
「中山先輩って、あのかっこいい人でしょ?ひな、中山先輩がどうしたの?」
「え!な、何でもないよ!うん!」
苦し紛れにそう答える。
「ひ~な~?ほら、何かあることはバレバレよ。教えてごらん?」
黒い笑顔で迫られる。
「な、何でもないってば!ほら、先生来たよ!席に戻って!」
「お昼休み、聞き出すからね!」
ちょうど教室に入ってきた先生に
感謝して席に座る。
