「うっ! 痛いよ」
エイルは毒を吐いているつもりではなかった、ラルフの身体には無数の針が突き刺さっていく。
目元にちょっぴり涙を浮かべているラルフにエイルは、これ以上の言葉は可哀想だと判断したのか反省文を書く準備に取り掛かる。
エイルはペンにインクを付けると、反省文の書き方を聞く。
流石のエイルも、反省文の正しい書き方は知らない。
いやこの場合、普通に知っているラルフを凄いと言うべきだろう。
この場合、ラルフの反省文を見本にするのがいいと考えたが、といってラルフは一文字も書いていない。
それなら聞いた方が早いと、ラルフに反省文の書き方を教えてもらうことにする。
「ずらずらと、思ったことを書けばいいんだよ」
「適当だね」
「こういうことをしました。二度としません。すみませんでした。そんな文章だぞ、俺の場合」
「だから、書き直しなんだ」
反省文は、ただ反省の言葉を書いていけばいいというものではない。
明確に事細かく、書かないといけない。
エイルの場合、使用が許可されていない場所での魔法の使用。
これが最大のポイントとなる。
校舎の中は勿論、校庭にも結界が張られているが、一箇所だけ貼られていない場所が存在する。
そのひとつが、ハーブ園。
「まさか、この場で」というのが主な理由らしいが、エイルが見事にそれを破ってしまった。
情けなくて、言葉も出ない。それは教師達も、同じ考えだった。
いや、教師達だけではない。
クラスメイトや他の学年の生徒も同じだ。
つまり、前代未聞の珍事といっていい出来事だった。
「つまり“反省の気持ちが現れているか”だろ?」
「そういうことだよ。一緒に反省文を書くなんて、嬉しいな。エイルも人の子なんだ。てっきり、人間の腹から産まれてきていないと思ったよ。出会った当初は、別の生き物だと思った」
「何だよ、それ」
「エイルって全てのことを楽にこなしているように見えるから、人間の子供じゃないと思った」
「ほう、言ってくれるじゃないか」
刹那、エイルの瞳が怪しく光った。
いくら友人関係にあったとしても、言っていいことと悪いことがある。
それを堂々と言ってしまうラルフは、ある意味で尊敬に当たる。
しかし同時に、自身の命を縮めてしまう。
いまだにそれを学習しないラルフは、本当に馬鹿だった。


