「あれ? 静かだ」
「やっぱり俺か……」
「本当に、面白い体質だよな」
頭を抱え、しゃがみ込む。そんなラルフの姿を見たエイルは、思わず言葉を失う。
旋毛の周辺に、コインサイズのハゲができていたのだ。
多分、烏に髪の毛を抜かれた影響だろう。
それに、黒い羽毛が髪の毛に絡まっている。
烏の総攻撃に身震いを覚えるエイルであったが、ハゲのことは内緒にしておく。
このことを伝えてもよかったが、何だか可哀想に思えたからだ。
「本当に、何が原因なのか」
「俺が、聞きたいよ」
「まあ、これから気をつけよう」
一体どのような理由で、ラルフは襲われたのか。
その明確な訳を知りたかったが、深くは追求しないことにする。
調べたところで、理由などわからない。
やはり「生き物に嫌われている」それが正しい答えだろう。
「これ提出して、終わらせよう」
「そうだね」
思わぬ方向に進んでしまった、合同授業。
提出したポーションのお陰で、エイルとラルフは合格した。
そのことにラルフは大喜びしエイルに抱きつこうとするも、やはり寸前でかわされ地面に顔を激突してしまう。
ふと、周囲が静まる。
そしてある一点に、視線が集まった。
次の瞬間、周囲が一斉に笑い出す。
どうやらラルフのハゲを発見したらしく、生徒の中には腹を抱えて笑う者や指を指す者、様々な反応を見せていた。
「な、何?」
指で示されている部分に触れてみる。
その瞬間、ラルフの悲鳴がこだました。
そんな反応に、周囲はさらに盛り上がる。
ラルフは力なくその場に座り込むとペタペタと頭を触り、薄くなった髪を悲しむ。
「育毛剤、買いに行くか?」
「う、うん」
「じゃあ、今度の休みに」
エイルは軽くラルフの肩を叩くと、慰めの言葉を言う。十代で若ハゲ。これほど、ショックなことはない。
その時、授業の終了を知らせる鐘が鳴り響く。
担当の教師達は生徒達を一箇所に集めると、授業の終了を告げ各教室に帰るように促す。
しかしショックから立ち直ることができないラルフは、しゃがみ込んだまま。
そしてシクシクと泣き出し、自身の身に起きた不幸を嘆く。


