「な、何をする!」
「毒草だ!」
「色と形が同じだろ?」
「葉の裏に、毛がないやつだ。毛があるのは毒草。これを食したら、トイレと友達になってしまう」
エイルの言葉に、ラルフは手を上下に振りながら「冗談でしょ?」と言うが、エイルは頭を振るだけで何も答えようとはしない。
それでも信じようとしないラルフに対し、最終手段ともいえる方法を取った。
「食べるか?」
「……どのぐらい寝込む?」
「お前の強靭な肉体なら、二日くらいかな。普通は、四日と聞く。ちなみに中和剤は、かなーり苦いらしい。その覚悟があるというのなら、食べてみるといいね。何事も、経験だし。でも、フランソワーの毒に耐えるほどの肉体だから、意外に毒に打ち勝つかもしれない」
暫しの沈黙が流れる――
すると何を思ったのか、ラルフは毒草といわれたハーブを無害なハーブが植えられている敷地内に捨ててしまった。
緑色のハーブの群生地に消える、同色のハーブ。
素人だったら、完全に見分けがつかない。
「後で、回収しておけよ。間違って授業で使われてしまったら、大問題になる。残りのひとつは、僕が探してくるよ。お前に任せたのが間違いだった。まったく、本当に薬草学を勉強しているのかよ」
言葉の隅々に刺が感じるような台詞を言いながら、エイルはラルフから教科書を奪い取るとハーブを探しに向かう。
相当ご立腹なのだろう、ハーブを探しつつブツブツと文句を言っていた。
一方エイルに取り残されたラルフは、黙々と自分が捨てたハーブを探していく。
その後姿には、哀愁が漂っていた。
合同授業の終了が、近付いてきた。
やっとの思いで捨てたハーブを見つけたラルフは、それを持ってエイルの元に向かう。
意気揚々と歩く姿は、何処か爽やかさが漂う。
それは「怒られずに済む」という安心感の表れだろう。
鼻歌を歌い、やり遂げたというオーラを撒き散らす。
その頃もう一種類のハーブを見付けたエイルは地面に座り、ポーションの調合を行なっていた。
ゴリゴリと音をたてながら、真剣な目付きでハーブを磨り潰していく。
それを見たラルフは「今、声を掛けたら問答無用で魔法が飛んでくる」と悟り、作業が終わるまで待った。


