リデルからの注意事項を聞いたアルフレッドは小声で、エイルに言葉を掛ける。彼の呼び掛けにエイルは彼がいる方向に視線を向けると、囁くような声音で「何?」と返すが、相手からの返事が返って来ない。
「相談?」
「いや、違う」
「なら、何?」
「何歳だっけ?」
「僕は、16だよ」
「いや、女王様だ」
「確か、12歳」
「そんなに、若かったのか」
「知らなかったのか?」
「いや、まあ……」
「だけど、若すぎる」
シェラの年齢を聞いたアルフレッドは、明後日の方向に視線を向けると何やら考えはじめる。そして、彼が発した言葉というのは「12歳の少女が一国を背負っていけるのか」というもの。
「大変だね」
「だよな」
「だから、補佐がいる」
エイルが瞬時に返した言葉は、現在の国の内情を的確に見抜いた言葉。だからこそ、周囲が好き勝手に振る舞い国を動かしている。しかしエイルは、それ以上の言葉は口にしなかった。
今、自分がいるのは城の中。何処で裏切った人物が聞き耳を立てているかわからないので、彼等を刺激する言葉を発した途端、自分自身の身が危うくなってしまう。だが、これだけはハッキリと言う。
「やることはやる」
これは自分の家名を傷付けたくないという思いではなく、本気で母国を護りたいという信念に基づくもの。彼の力強い言葉を聞いていたアルフレッドが、同じように頷き決意を表す。それに続くようにシンも頷き返すと「頑張ろう」と言葉を発し、彼等はひとつの目標に向かう。
「何をなさっているのですか」
そのように言葉を発したのはルーク。彼はエイルとシードと別れた後、自室へ戻る為に廊下を歩いていた。その途中、彼が偶然に出会ったのは自分が守護しているミシェルであった。普通、彼がこの時間出歩いているのは珍しい。何事かと思ったルークは、強い口調で問い質した。


