ロスト・クロニクル~前編~


「納得したか」

「勿論です」

「それならいい」

 アルフレッドへの説明を終えたリデルは、逸れてしまった話を元に戻す。一方アルフレッドは疑問に感じていたことがスッキリしたので、真面目な表情でリデルの説明を聞き入る。

「――という訳だ」

「了解しました」

 全ての説明が終わると、三人はリデルの後に続きシェラの寝室の側まで向かう。シェラの寝室は、城の一番奥に存在する。この場所は独特の雰囲気が漂い、身が引き締まる思いがした。

 ふと、目の前から一人の侍女が歩いて来る。リデルの説明では、彼女は女王つきの侍女と知る。侍女はリデル達の姿に気付くと立ち止まり、深々と頭を垂らす。一方リデルはこの時間に何をしているのか尋ねた。

「女王様が、お一人では眠れないと……」

「そう……わかったわ」

「ですので、縫いぐるみをお持ちしました」

 侍女の説明に納得したように頷くリデルであったが、内心は複雑な心境であり顔が曇っていく。しかし、動揺している姿を部下達に見せるわけにはいかないので、凛とした態度を取る。そして侍女に今宵は自分達がシェラの警護を行うということを伝え、侍女と別れた。

 クローディアに暮らしている者は女王シェラの精神状態を知っているので、侍女の言葉が重く感じる。普段、馬鹿笑いをしているアルフレッドも、シェラの話が絡むと表情が強張る。

 表情が強張っているのは、アルフレッドだけではない。エイルもシンも、同じように表情が強張っている。

 間接的にシェラの状況を聞いていたが、このようにハッキリと自国の女王の現状を知ると、言葉を失う。

 だが、嘆きの言葉を口に出すことはできない。エイルは迷いを振り払うように頭を振ると、真剣な面持ちを浮かべる。

(国の為に……)

 それが、多くの者の決意。

 リデルの案内、シェラの寝室の前に到着するが、警備はシェラの寝室の中で行なうわけではない。相手は、一国の女王。相手の命令がなければ、勝手に立ち入っていいものではない。無礼な行動を平気で行なうアルフレッドが側にいるので、リデルはその点を注意するように厳しく言っていく。