「俺は、其処まで馬鹿じゃない」
「そうでありたい」
彼等の言葉を遮ったのは、リデルの声音。彼女の声音に三人は背筋を伸ばすと、声が響いた方向に身体を向けた。
「皆、集まっているな」
「はい」
三人が一斉に返事を返す。しかし一拍後、エイルが口を開き先程の出来事について詫びた。
「そのことは、隊長から聞いている」
「その……本当に……」
「何とも謝らなくてもいい。自分自身の未熟な部分を知っただけでも、今後に繋がるのだから」
「はい」
「ということだって」
「アルフレッド、お前にも言えることだ」
リデルの言葉に賛同する形でアルフレッドがエイルに言葉を掛けるが、逆にリデルに叱られてしまう。相変わらずの姿にシンが噴出してしまうが、それに対してもリデルの厳しい言葉が飛ぶ。リデルの叱責を受けた三人は同時に身体を硬直させると、これまた同時に頭を垂れた。
彼等の態度にリデルは苦笑いを浮かべるが、それ以上説教に近い言葉を言うことはしなかった。これから、夜の警護の仕事が待っているので、説教で大事な時間を潰したくないからだ。
リデルは短い溜息を付いた後三人に、自分達が行うべき仕事の内容について語っていく。親衛隊は、王家の守護が第一の任務。女王シェラの寝室の周囲を警護し、不審者の侵入を防ぐ。
語られる説明に納得しながら聞くエイルとシンであったが、アルフレッドは納得できない様子だった。怒られることを覚悟しつつ利き手を上げると、他の隊員は何をしているのか聞く。
「お前は、交代という言葉を知らないのか」
「ああ、そうでした」
「少しは頭を働かさないか」
「失礼しました」
アルフレッドの情けない質問に頭痛を覚えつつも、真面目なリデルは彼の質問に丁寧に答えていく。親衛隊の面々が優秀で体力に自信がある人間の集まりといっても、彼等は生身の人間である。毎日のように徹夜で任務をこなしていては身体が持たず、交代で休みを取っているという。


