「本当に、若い者は……」
「隊長も若いです」
「そうだな。しかし愚痴が多くなったというのは、年齢を重ねた証拠だ。いやはや、歳は取りたくない」
「……隊長」
珍しく冗談を言う自分に苦笑していたが、瞬時に笑いを止めるとリデルに後を任せると言い残す。
「了解しました」
彼女からの返事に軽く頷き返すと、シードは自身に課せられた仕事を行なう為に彼専用の部屋へ戻って行く。シードは隊長の地位に就いているといっても、先頭に立ち全て行なうわけではない。多くの面で副隊長のリデルが先頭に立ち、シードの代わりを果す。
今回新人の教育もリデルの勤めで、彼女はシードの姿が消えるのを確認した後、エイル達がいる部屋へ急いだ。
その頃、エイルは複雑な表情を浮かべていた。シードに指摘されて本当の意味で気付いた、自分の未熟な一面。それを改めて知った今、自分はメルダースで何を学んできたのかと悩む。
エイルの心情の変化にいち早く気付いたのは、アルフレッド。彼はエイルの顔を覗き込むと、何かあったのか尋ねてくる。彼の言葉にエイルは肩を竦めると、自分の未熟な一面を反省しつつ先程の出来事を話す。
「で、怒られた」
「お前も怒られるんだ」
「怒られるよ。それに今回、僕が悪かったんだ。隊長に怒られて、それがわかったからよかった」
シードに叩かれ悪い部分を指摘されなかったら、どのような結末を迎えていたかわからない。クリスティの命令というのもあったが、メルダースでは常にトップの地位に就いていた。
正直、自分の能力や力を過信していといってもいい。しかし親衛隊の一員になった今、その過信を捨てないといけない。それに下手に過信を持つと他者に迷惑を掛けてしまうと、シードから学んだ。こうなるとぶっ飛んだ研究を行っていたラルフの方が、まだ己の実力を理解している。
エイルの告白に、アルフレッドは腕を組み納得したかのように何度も頷く。その姿を横目で眺めていたシンは彼に対し鋭いツッコミを入れ、毒に近い言葉を発していく。彼女曰く、アルフレッドはエイルの言いたいことを理解していない。ただ、納得しているように演じていると言う。


