気を付けろ。
あの時、危険性の面で気を付けろと言われたのではないかと思っていたが、彼と対面し会話をすると別の意味を持っていたと気付く。そして、フレイが言いたかった真の意味を知る。
「貴方は……」
どうして其処まで冷静でいられるのか。エイルは心の中で問う。普通、支配する側は横暴に振る舞い、支配する側を好き勝手に弄くる。また、無理難題を押し付け相手の反応を楽しむ。彼が守護しているミシェルがいい例であり、他の者達も同じである。しかし、ルークは違っていた。
変わっている。
それが、ルークに対しての印象。
いや、変わっているというのは偏見か。彼は、普通の人物より器が大きいというのが正しい。ルークを見ていると自分の未熟さを知り、おかしな質問をしてしまった自分が情けなくなってくる。
「剣は使えるか?」
「そこそこは……」
「師は、フレイ殿か」
「はい」
「そうか。フレイ殿もそうだが、君ともいつか手合わせをしてみたい。フレイ殿のご子息の実力はどれほどか……」
確かに父親から剣を学んでいるが、実力は高い方ではない。一方ルークはミシェルの守護者をしているのだから、実力は相当高い。そのような人物と手合わせしても結果はわかっており、下手すれば怪我では済まされない。
しかし、手合わせしてみたいというのが本音。それが無謀な挑戦というのもわかっているが、自分の実力が何処まで通じるか知りたかった。
「僕は……」
「受けなくていい」
エイルの言葉を遮ったのはシード。彼は今まで二人のやり取りを聞いていたのだろう、彼の目付きは鋭い。
「立ち聞きとは、いい趣味ではない」
「誰であろうと、手合わせを願うのもいい趣味ではない。それに、彼は私の部下……連れて行く」
そう言い残すと、シードはエイルの背中を押しルークの前から立ち去る。逃げるように立ち去る彼等の姿にルークは、手合わせできないことを残念に思っているのか肩を竦めていた。廊下の角を曲がった瞬間、エイルは「隊長」と、呼ぶ。その声にシードは足を止めると振り返り、エイルの頬を叩いた。


