親衛隊の面々は個人個人で仕事を行なう場合もあるが、大半は全員が隊長のシードの命令を受け全員で行動するので、信頼関係が必要不可欠だ。城の構造を全て覚えるということに関しては、エイルが思っていた通り仕事上の理由が関係していた。そして早く把握することが仕事を迅速に行うのに欠かせないことと、付け加えられた。
一通りその理由を話した後、先輩隊員が言ってきたのは夜の警備に付いて。親衛隊の職業上、彼等の仕事は昼夜を問わない。そして特に夜間の仕事は一番神経を使い、新人が一番苦労するのがこれだという。
「夜」という単語に、アルフレッドの眉が動く。アルフレッドはエイルより先に入隊しているので夜の仕事も行っているのだが、それに対しいい思い出がないのだろう顔色が悪い。
「今日からでしょうか」
「勿論だ」
「わかりました」
メルダースの在学中、何度も徹夜を経験しているので特に億劫ということではない。だが勉学に励むことと今回の内容は全く違うのを知っているので、エイルは胸に手を当てると自身に気合を入れた。
暫くの間、先輩隊員からの説明を聞いた後、エイルとアルフレッドはシンが待つ資料室へ戻り、今夜の仕事に付いて話す。勿論シンも先に入隊しているので、アルフレッドと同じように夜の仕事の経験をしている。そして彼女の場合、眠気がすぐに襲ってくるので苦労しているという。
「今日から、三人か」
「宜しく」
「此方こそ」
真面目なエイルと一緒に仕事ができることが嬉しいのだろう、シンのテンションが上がっていく。一方アルフレッドは資料の整理で体力の殆どを持っていかれたのだろう、珍しくテンションが低い。
「どうした?」
「今日は休みたい」
「無理」
新人の身分で、勝手に休みを取っていいものではない。それに誰もが同じ分量の仕事を行なっているのであって、アルフレッドだけが特別に多いというわけではないが、今日は頑張った方である。
その点を褒めていくエイルだが、内心では複雑だった。アルフレッドは肉体の面では有利に働くが、知識と精神面では問題が多い。果たしてこれから真面目にやっていけるのか――と、疑問視する。隊長や副隊長は、彼を「肉の壁」という部分を見て、隊員の一員とした。


