流石というべきか。この相手を上手く乗せる方法も、ラルフ相手に学んだやり方であった。一方、アルフレッドは表情を歪ませつつ懸命に仕事を行なっていく。以前の彼の姿を知っている者が今の彼を目撃していたら、その変化に驚いているだろう。それだけ、彼の姿は真面目そのものだ。
数十分後――
何とか、無事に全ての仕事を終了することができた。正直、内容は素晴らしい物とまではいかないが、アルフレッドが個人的に纏めた資料に比べれば何十倍もいい。
それに先程と違って、きちんと読める内容だった。エイルはアルフレッドを引き連れ、先輩のもとへ懸命に纏め上げた資料を持っていく。そして、この資料はアルフレッドが纏めた物と報告した。
「本当か」
「嘘は申しません」
誰もがアルフレッドの性格を知っているので、エイルの説明を簡単に信じられるものではない。しかし、エイルが何度もアルフレッドが頑張って資料を纏めたということを説明していく。
流石にこのように力説されると信用しないわけにもいかず、それにエイルの目は本気だった。
「そこまで言うのなら……」
「では……」
「荒い部分もあるが、前よりはいい」
「有難うございます」
勝手に話が進められていることに、アルフレッドは言葉を発する完全にタイミングを見失う。しかし黙って現在の状況を見守っているほど、アルフレッドは大人しい性格ではない。
するといいタイミングを見付けたのか彼は言葉を発しようと試みるが、寸前でエイルの肘打ちに合う。
「次は、どうしたら宜しいでしょうか」
「お前、城の内部を把握しているか?」
「い、いえ」
フレイに連れられ何度となく城を訪れたことがあるので主要な部屋の位置は把握しているが、細かい部分まで把握しているわけではない。ふとエイルは、先輩隊員が何故そのようなことを聞くのか瞬時に理解する。
仕事上、城の細かい構造を把握していないと話にならない。といって城の構造が事細かに描かれた地図が手渡されることは、防犯上絶対に有得ない。先輩達は、冷たく引き離すということはしない。わからないことがあれば、迷わず質問していいという。この優しさに対しても、深い意味が存在している。


