エイルが発する無言の圧力を感じ取ったアルフレッドは戦き、何故圧力を放っているのか尋ねる。
「お前が……」
反射的に大声を発してしまいそうになるが、エイルは途中で言葉を止め冷静になるように自身に言い聞かせる。それにより冷静さを取り戻したエイルは、淡々とした口調で理由を言っていく。流石、メルダース卒業者。細かく語られる悪い点に、アルフレッドは観念に素直に謝ってきた。
「そう思うのなら静かにして、これを手伝う。これは元々、お前が行なった仕事らしいから」
「俺、こういうのは苦手だ」
「苦手と言うな。新人なんだから、こういう仕事を真面目にやる。ほら、逃げ出すな。座れ」
アルフレッドの性格を考えると、無理矢理仕事を押し付けてもいい結果を出さないというのはわかっている。それに一人で仕事を行なった場合、再び先輩からやり直しが言い渡されるだろう。
エイルは考えた末、自分が手伝ってやることにする。アルフレッドの前に資料を開いて置くと、丁寧に説明していく。だがエイルの説明が難しかったのか、アルフレッドの表情が歪んでいた。
「ちょっと待て」
「何?」
「レベルをメルダースに合わせていないか?」
「そんなことはない。要は、理解力の問題だよ。で、説明の続きをするからきちんと聞くんだ」
「う、嘘だ」
早くアルフレッドに仕事を覚えて欲しいので、言葉では「簡単」と言っているが、説明の方法は徐々に難しくなっていく。勿論、アルフレッドが理解できるわけがない。しかし隣で聞いていたシンは説明を理解したのか、エイルが何を言いたいのか独り言のように呟きだした。
「何でわかるんだ」
「簡単だよ」
「俺だけ?」
「そうらしい」
エイルはメルダースを卒業しているので頭がいいとわかっていたが、まさかシンの方も頭が良かったとは――頭がいい二人の囲まれていることにアルフレッドの心境は複雑そのものだが、このようなことでめげるアルフレッドではない。彼は追い込まれるほど、燃える性格の持ち主だった。


