「気にするな。俺は、仕事がサボれていい」

「……お前」

 親衛隊の一員が、このように不真面目でいいものか。エイルは心の中で、愚痴ってしまう。しかしアルフレッドは、肉の壁として一員となった。それ以外、活躍を期待していないのだろう。そのように言い聞かせ、アルフレッドの不真面目な部分を軽く流すことにした。

「で、飯が美味い店は何処だ?」

「寄り道するのか?」

「いいだろう?」

「父さん以外に、隊長と副隊長に言い付けてやる」

「それは止めて欲しいな」

 流石に、この三人に今回の出来事を報告されたら何が待っているかわかったものではない。下手すれば、地獄を見る。そのことを学習しているので、アルフレッドは素直に帰宅することを選んだ。

 アルフレッドはエイルが持つ荷物の半分を受け取ると、二人は並んで歩き出す。彼はラルフと違い、ある程度の常識を弁えている。最初エイルは愚痴っていたが、徐々に笑いが混じった会話へと変化していく。そして仲良く、故郷のクローディアに帰って行くのだった。

 複雑な思惑が入り混じる故郷。だが、彼等は我が身に降り掛かる運命に気付いていない。それでも、突き進む。

 これが、正しい道と信じて――