だが、彼等は肝心な部分を忘れている。二人は卒業式を終えたので、後は私物を片付けて学園を去らないといけない。エイルは「卒業の前に」と言っているが、メルダース的には二人とも卒業している。
普段きちんと計画して物事を進める二人だが、魔導研究会の面々のことを相当根に持っている影響で計画は明後日の方向にぶっ飛んでしまい、感情で突っ走っているといってよかった。
「学園長に報告」
「また、会いに行くのか……って、ああ!」
ケインの言葉に、エイルは大声を出す。この瞬間、自分達が置かれている状況をハッキリ認識したのだ。魔導研究会を潰す場合、ケインが言うように学園長に報告しないといけない。
その後、教頭を筆頭に全ての教師達に状況を説明していく。そして校庭の使用権を獲得して、魔導研究会に決闘を申し込む。冷静に考えれば、これほど面倒なことはない。卒業式後の片付けも行なわないといけないので、魔導研究会だけに貴重な時間を割くのも馬鹿馬鹿しい。
普段の冷静沈着な一面を取り戻したエイルは、ケインに自分の考えを語っていく。しかし、その言葉がケインに届くことはなかった。彼は、魔導研究会のやり方に頭にきている。メルダースを去る前に、ぶっ飛ばしておかないと気が済まない――というのが、彼の本音だ。
「一人でも、ぶっ飛ばす」
利き手を突き上げ、気合を入れるケイン。そしてエイルの手を借りられないとわかったのか、一人でクリスティのもとへ行ってしまう。彼の後姿にエイルは肩を竦めと、ケインの後を追うように走り出した。
卒業後すぐに故郷に帰り親衛隊の一員にならないといけないのだが、今回は友情の方を取る。
ケインはラルフと違い長く一緒いたというわけではなかったが、話が合うということでいい友情関係を築いている。それを今回の件で崩壊というのは洒落にならないので、エイルは彼の後を追った。
「やっぱり、一緒にやるよ」
「エイルも、ストレス溜まっているな」
「溜まっていないといったら、嘘になるよ」
「なら、徹底的にいこう」
人間、ストレスが蓄積すると性格が変わってしまうのだろう。ケインの言い方に、一瞬クローディアで知り合ったアルフレッドを思い出す。彼も何処か感情のままに突っ走る部分を持っているが、ケインはアルフレッドと比べていい部分が多く、何より馬鹿笑いをしない。


