相手側は、それを狙っている。
クリスティはその点を簡単に見抜く。そして更に、注意しないといけないと忠告してきた。
「婚約者はいるの?」
「いえ、父は何も……」
「そうね。現在の状況を考えると、婚約者というのは難しいわね。もし、婚約者が敵側に内通していたら……」
「危険です」
敵として認識し注意しないといけないのは、エルバード公国だけではない。クローディア内部には敵側に寝返り、甘い蜜を吸っている者が複数いるからだ。それも、位が高い人物だから実に厄介だ。エイルは裏切り者の名前は知らないが、先王の側近だった――ということを父から聞いたと付け加える。
「私、そういう人物は嫌い」
「が、学園長……先生?」
「潰す」
「その……被害は……」
「最小限に止めるわ」
「いや、できれば……」
クリスティの言葉に、エイルは懸命に「止めて欲しい」と、訴えかけていく。クリスティが持つ魔力は地上最強で、彼女が感情のままに行動したらクローディアが地図から消えてしまう。
すると彼の願いを受け入れたのか、クリスティは「冗談よ」と言い不適な笑みを浮かべるが、今の言い方は絶対に冗談ではないと確信するエイルだが、命の危険があるので反論は行わない。
「でも、場合によっては……」
「や、やるのでしょうか?」
「さあ」
意味深い言い方に、エイルの顔色は更に悪い色彩へ変化していく。できるものなら強制的に止めたいのだが、歯向かって勝てる相手ではなく最悪の場合卒業を取り消されてしまう確立が高い。それに最強の魔女に協力を申し込んだので、機嫌を損ねるわけにもいかない。
「心配?」
クリスティの言葉にエイルは両手を振り「なんでもない」という意思を示す。正直に「心配」と言えたらどんなに楽だろうが、関係を崩せないので本音と違うことを言葉に出す。だが、相手は曲者のクリスティ。エイルが考えていることを瞬時に見抜き「嘘」と、返した。


