「ど、どうした」
「相手が、偉大すぎて」
「そ、そんなに凄いんだ」
「凄いってものじゃないよ」
世の中完璧な人間は存在しないといわれているが、シードは完璧な人間といって過言ではない。キビキビと部下達に指図を出し、尚且つ頭の回転が速い。何一つ勝つことができない状況に、エイルは溜息を付いた。
彼の言葉に仲間達は、世の中の広さを知る。メルダースは世界中から一定のレベルに達した生徒が集まってくるが、それ以上の存在が世の中にいたとは――エイルに続き、全員が溜息を付く。
「僕の所為で話が逸れてしまったけど、日程が決まったら教えて欲しいな。二年目から参加するから」
「了解」
「卒業式前までに教える」
「助かるよ」
その言葉で、第一回目の会合はお開きとなった。そしてそれぞれが目的の場所へ戻って行く時、会合に参加していた生徒の表情は明るい。どうやら、心の底から集まりを楽しみにしているのがわかった。
◇◆◇◆◇◆
エイル達が会合を行なった日から一週間後――メルダースでは、盛大な卒業式が行なわれた。卒業式に参加している生徒達はこの日を無事に迎えたことが嬉しいのか、感涙に咽ぶ者が多い。
卒業者が集められているのは簡素な一室で、其処でクリスティが卒業者全員に激励と冗談を交えた演説を行なっている。クリスティの激励の言葉は長い時間続いていたが、誰一人として嫌な顔をする者はいない。
それは多くの生徒が素晴らしく実り豊かな人生を歩めると喜び、中には出生した自分を妄想している者が多々存在していたからだ。その結果、顔はだらしなく緩み彼等の表情は実に見苦しい。
「さて、話はこれで終わり。まあ、殆どの生徒が聞いていないでしょうね。顔を見ればわかるわ」
その嫌味がたっぷり含まれた言葉に、生徒全員の身体がピクっと震えた。そして額に大量の汗を滲ませ、ガタガタと身体を震わす。そんな彼等に止めを刺すかのように、クリスティが言葉を続ける。悪いことをして世間を賑わすようなことをしたら、何処へでも赴き徹底的に仕置きをすると――


