「ああ、そうだった」
「それにしても、凄いな」
「コネ?」
「違うよ。それにコネで隊員になれるほど、甘いものじゃないし。そもそも、弱いとなれないよ」
エイルの説明に、全員が一斉に頷く。王家の盾となって守護する者が、命を狙ってくる者を見た瞬間腰を抜かしたら洒落にならない。それに、親衛隊の隊長と副隊長はコネを許さない。
また、コネで一員となったとわかった場合、学園長のクリスティが何と言うか。彼女は地獄耳で、物凄く距離が離れていても確実に彼女の耳に届く。そのことを仲間達に話すと、全員の顔から血の気が引いた。
「そ、そうだね」
「学園長は、恐ろしい」
「納得」
「うん」
全員が全員、骨の髄まで学園長クリスティの恐ろしさが染み付いているので、恐怖に震えた全員が暫く言葉を発することができないでいた。その時、食堂で働いているおばちゃんのくしゃみが響き渡り、緊張のあまり顔を引き攣らせている彼等にひと時の安らぎを与えた。
その音で沈黙を続けていた全員が意識を取り戻し、互いの顔を見合うと同時に苦笑し合う。
「で、エイルは抜きだったね」
「宜しく」
「じゃあ、俺達で考えよう」
「悪い」
「仕方ないよ。仕事の内容が内容なんだし。で、エイルは頑張れ。将来は、隊長になるんだぞ」
「うーん、どうだろう」
「期待している」
仲間の声援に、エイルは渋い表情を浮かべる。現在隊長の地位に就いているシードを見ていると自分の未熟さを痛感し、そしてシードは全てのことを完璧にこなし王家に対しての忠誠心も高い。
また、部下や他の者達からの信頼も篤く、彼はエイルが持っていない物を沢山持っている。その点で、シードと比べて確実に劣っている。そもそも比べること自体間違っているのだが、ついつい比べてしまうのが人間の悪い癖で、エイルは両手で頭を抱えると劣等感に苛まれたのか唸り声を発する。


