警戒心を解いたユーリはエイル達がどのような提案をしてくるのかと、期待を込めた表情を作る。彼等が考えた内容なのだから、面白いことは間違いない。このあたりは、長い学園生活で学習していた。
ユーリはカップに残っていた紅茶を全て飲み干すと、椅子に座り直し身を乗り出しエイルの言葉を待つ。
流石にこのように身構えられると緊張してしまうが、エイルは身振り手振りを付け加え「年に一度の集合」に付いての話をしていく。勿論、ラルフは抜きという部分を言い忘れない。
その提案に、勿論ユーリは食い付いてきた。彼も卒業後、仲のいい友人達と会いたいと考えていたのだ。長い年月、共に学び共に泣いた大事な仲間達。彼等と築き上げた信頼関係は、山より高く海より深い。その仲間達と卒業後と同時に一生の別れに近い状況に置かれるのは、寂しいという。
自分達と同じ気持ちを持ち尚且つ提案にユーリが食い付いてくれたことに、二人は互いの利き手を軽く打ち合わせ喜ぶが、これで全員が揃ったわけではない。といって、特定の人物を選んでいるわけでもない。
「で、誰がいい?」
と、言われたところで明確に名前を上げることはできない。ユーリという存在はたまたま発見したので候補の中に入ったという、何ともいい加減で安直な選び方だった。ふと、ユーリが一人の生徒の名前を上げる。その人物の名前はマキネで、回復魔法を専攻していた生徒だ。
「ああ、あいつを呼ばないと」
「だよな」
「面白い人物だから」
「じゃあ、マキネを捜すか」
「賛成」
ユーリの提案に、二人は同時に頷き返していた。といって、相手が何処で何をしているのかという情報は全くない。彼の出没先で特に多い場所は、現在いる食堂と勉強の時に使用している図書室。後は、魔法の練習を行なう特別室に学生だ。三人は食堂全体に視線を走らせ、マキネの姿を捜す。
「うーん、いないか」
「なら、一番近い図書室に行こうか」
「それがいいかもな」
マキネを捜しに図書室へ向かおうとした瞬間、ユーリが「ちょっと、待った」と焦ったような言葉を発し、二人の行動を制する。そして使用していたカップを手に取ると食堂で働いているおばちゃんのもとに、そのカップを返しに行く。そしてエイル達のもとへ戻ると、仲良く図書室へ向かった。


