彼等は学園長の私室の前に立つと、エイルがクラスメイトに代わって扉を叩く。そしてクリスティからの返事を聞くと扉を開き、エイルが先頭でクリスティの私室へ入室するのだった。
「えーっと、彼です」
エイルはクリスティに、マルガリータを抹殺した人物を紹介する。一方紹介された人物は、クリスティの身体から漂う圧力に完全に負けていた。その証拠に、顔色が悪かった。しかし、クリスティの機嫌はいい。現に彼女は口許を緩め、美しい笑顔を二人に向けていた。
「そう。偉いわ」
「あ、有難うございます」
「で、二人にプレゼントがあるのよ」
クリスティが言う「プレゼント」という言葉に、二人は互いの顔を見合す。普通「プレゼント」と言われたら素直に喜びを表現するものだが、相手がクリスティということもあって喜ぶに喜べない。
いまいち反応が悪い二人に、クリスティの目付きが瞬時に変化する。睨み付けるような視線を向け、低音の声音でどうして喜ばないのか尋ねる。またペシペシと机を叩き、二人に圧力を掛けていく。
「そ、それは……」
「それはですね……」
「ハッキリ言いなさい」
何も言ってこない二人に業を煮やしたのか、クリスティはビシっと指で指し示すと声音を荒げた。雲行きが怪しくなってきたことに、二人は同時に顔を歪める。流石に、これ以上は身の危険に及ぶ。それに気付いた二人は恐る恐る、クリスティに自身が抱いている真情を言葉に出した。
「私って、そのように思われているの?」
「その……学園長先生は立派な方で……皆の尊敬を集めて……その……えーっと……凄いです」
「ですから、決して……」
「悪い意味ではありません」
「まあ、いいわ。で、プレゼントは……」
マルガリータを退治したことにより与えられるプレゼントというのは、クリスティのサインが書かれた特別な証明書のことだ。
それを聞いた二人は、一瞬「本当に?」と、タメ口で聞き返していた。しかしタメ口を付いてしまったことに命の危険を察したのか、彼等は反射的に部屋の隅へ逃げていく。そして何度も詫びの言葉を言い、許しを請う。また卒業を取り消ししないで欲しいと、必死に頼んだ。


