瓶の蓋を開けると、マルガリータが眠っている土の上に液体を垂らしていく。エイルは即効性を期待していたが、液体は普通に土に吸収していってしまう。すると、クラスメイトは間の抜けた声を出していた。
「どうした?」
「いやー、反応が……」
「やっぱり、即効性の薬なんだ」
「そうなんだけど……おっ!」
その時、液体を垂らした箇所からシュワシュワっという音と白い煙が立ち昇った。それに続き、ボンっと何かが空気が破裂した音が響く。これは予想外の反応だったのか、クラスメイトがか細い悲鳴を発した。
「な、何だ」
「それは、僕が聞きたいよ」
「埋めたのは、植物だよな」
「勿論。あっ! でも、炭にした」
「それだ!」
エイルの説明に、クラスメイトは大声を出す。そして失礼とわかっていながら、エイルを指差す。
「炭にしたから、おかしな変化を起こしたんだよ。でも、いいデータが取れたからいいかな」
彼の言葉を聞き、エイルはクラスメイトがどうしてこの薬を使用したのかその理由を知る。どうやらマルガリータ殲滅の気持ちは半分で、残り半分は個人的な目的で薬を使用したらしい。
だが、気持ちはわからないわけでもない。メルダースに在学しているのなら、それくらいの貪欲さは必要だ。
「で、これで大丈夫?」
「勿論!」
「それなら、安心だ。マルガリータが復活したら、地上の生き物が全て死滅してしまうから」
「だよな」
クラスメイトも納得したように、腕を組み何度も頷く。彼もマルガリータの脅威を含め周囲の噂と、エイルの実体験の話から知っている。だから、態々薬を調合し持って来てくれた。
彼が持ってきた薬のお陰で、マルガリータは完全に死滅した。これで、二度と復活を果さないだろう。人類の平和が保たれた――という言い方は大袈裟過ぎると言えなくもないが、マルガリータの脅威の生命力と変わった育て主の性格を総合すると「人類の平和」という言い方は強ち間違いではない。


