エイルは、周囲がマルガリータの未来の姿を危惧していることを知っていた。そして最初は何が何でも処分したくないと意地を張っていたラルフだが、エイルの説明に徐々に気分が揺らぎだす。
「処分した方がいい?」
「勿論」
「じゃあ、種は……」
「駄目!」
世界平和のことを考えると、マルガリータの種を残すことも危険過ぎる。一粒の種から瞬く間のうちに仲間を増やしていき、最終的には人間生活を確実に脅かし生態系の頂点に立つだろう。
マルガリータと人間の全面戦争など、洒落にもならない。また、考えただけで身震いが起こる。
エイルはラルフの額を人差し指でビシビシと突っ突き、淡々と世界平和に付いて力説していく。するとエイルの迫力に負けたのか、ラルフはエイルにマルガリータの処分を任せた。
「いいよ」
「だだ、お願いがあるんだ」
「何?」
「優しく処分して」
「……気持ち悪い言い方だね」
ラルフの言葉に、エイルの肌に鳥肌が立った。いつものエイルであったら反射的に手が飛んでいるが、先程の言葉で精神にダメージを負ってしまったので手が飛ぶことがなかった。
それと同時に、エイルは盛大な溜息を付く。どうやら限界に達してしまったのか、彼はヒラヒラと手を振るとラルフの言葉を受け入れマルガリータを優しく処分することを約束したのだった。
◇◆◇◆◇◆
その日の午後、エイルはマルガリータが植わっている植木鉢とスコップを持ち、学園の裏手にやって来た。彼がいる場所は人目に付き難い場所で、この場所なら安全かもしれないと思い選択した。
エイルは植木鉢を地面に置くと、スコップを使い地面を掘っていく。マルガリータを埋めるくらいならそれほど深く掘らなくていいのだが、復活を阻止するのなら深く掘って埋めてしまった方がいい。その思いが強く働いたのか、力強く土を掘りマルガリータの墓を作る。


