「お待たせしました」
「では、はじめましょう」
「はい」
試験方法は前の生徒のやり方を見ているので、覚えている。しかし教師は毎回説明しなければいけないのか、事細かにやり方を説明していく。その説明に、エイルは何度も頷き聞き入る。そして説明が終わると、教師から「わかりましたか?」と、言葉を発する。勿論、説明は全部わかった。
「いきます」
「周囲には、注意しなさい」
「はい」
「見学者に被害が行けば、不合格です」
「はい」
それは、説明がなくとも理解している。昨年「見学者に被害」を身を持って経験したからだ。といって被害に遭ったのはエイルではなくラルフで、その不合格を受けた人物は今年再度試験を受ける。
昨年の経験を踏まえてエイルは最大限の注意を払うが、エイル自身が注意できるのも限度がある。問題は、見学者が下手に動かないということ。流石に、不可抗力は洒落では済まされない。
この点で、見学者に注意を促すことはできない。見学者がいることも考慮して、魔法を使えば済む話だから。
エイルは緊張を解す形で、長く息を吐き出す。そして神経を集中させて、試験で使用する魔法を考えていく。彼が得意としている魔法は〈風〉の属性なので、その属性の魔法は禁止。
それなら――
ふと、迷いが生じた。
「あの……」
「何かしら」
自分では正しい結論が出せないので、エイルは口を開き教師に尋ねる。彼が使用を考えていた魔法というのは、広範囲に影響を与える。それは〈地〉の属性の魔法で、大半が大地を傷付ける。
最悪の場合、校庭が暫く使用不可能になってしまう。それを聞いた教師は、渋い表情を作る。
しかし良い条件が思い付いたのか、教師はエイルに〈地〉の属性の魔法の使用を許可する。正し、これには二つ条件を提示してきた。それは極力校庭にダメージを与えず、尚且つ見学者に被害が及ばない魔法を使用するというものであった。その難しい条件に、今度はエイルが渋い表情を作る。


