ロスト・クロニクル~前編~


 終了の合図と同時に、ペンが机の上に置かれた。しかし、中には往生際の悪い生徒もいる。

 終わりの合図を聞こうが、必死にペンを動かす。だがそれが許されるわけがなく、教師は無言でテスト用紙を奪い取るとコホンっと咳払いする。そして一言「不合格になりたい」と、尋ねた。

「い、いえ」

「宜しい」

 キビキビとした態度に、生徒は萎縮してしまう。いや、その前に決まりを守らない方が悪い。

 しかし「合格したい」という思いが、この生徒を動かしている。だが全員が決められた時間の中で問題を解いているので、彼一人を特別扱いできない。また、学園長は不正が嫌い。

「さあ、集めるわ」

 次々と、テスト用紙が集められていく。

 その瞬間、生徒達が一斉に溜息を付いた。だが、これで全ての試験が終わったわけではない。

 この後四回のテストを受け、その他に実技試験を行なう。それらの総合得点で合否が決まるのだが、生徒達の体力も限界に近い。何せ、一回目から相当難しい問題を解いたのだから。

 休憩十五分を挟んで、二回目のテストが行なわれる。今度のテストは、エイルにとって悪い思い出が多い薬草学だ。

 次のテストに備え休憩をした方がいいが、その時間も勿体無い。一個でも多く知識を詰め込まなければ、いい点数が取れないからだ。連日の知識の詰め込みに、頭が痛くなってくる。

 エイルは痛む箇所を優しく揉み頑張れと言葉を掛けると、次のテストも頑張ろうと気合を入れていく。

 そして、十五分後――

 今度は、違う先生がやって来た。

「配るぞ」

 その言葉と同時に、机の上で開いていた教科書が次々と閉じられていく。今度のテストは植物の知識の他に、実際に調合した時の効能に付いての知識も問われるので、先程より難しい。

 同じ薬草学でも、ラルフが受けるテストに比べれば簡単だった。だが、配られた用紙に書かれている文字を読んだ瞬間、一瞬意味がわからなかった。最初からわからないと焦るエイルであったが、文章を読み返すとどのようなことを問うているのか理解することができた。