正直、彼の手紙は迷惑と言ったら迷惑なのだが、相手も悪気を持って送ってきているわけではないので、仕方なく返事を書いて送り返している。それにアルフレッドという人物はラルフと同様にぶっ飛んだ部分を有しているが、根っからのトラブルメーカーというわけではない。彼とは親衛隊の試験の時のみの付き合いだが、そのようにエイルは感じ取っていた。
馬鹿に見えて、馬鹿ではない。
それが、彼の特徴だ。
また手紙のやり取りは、クローディアの現状を知るのに役に立っている。両親や兄との手紙では、下手に心配を掛けてしまうので出来ない。といって、マナから情報を聞き出すのは難しい。
この場合、洞察力に長けている人物でないと勤まらない。そうなると必然的にアルフレッドが残り、エイルの予想が正しかったと証明されている。現にアルフレッドは、クローディアの現状を事細かに手紙に書き記している。勿論、普段の出来事も忘れずに書かれていた。
アルフレッドは現在のエイルとは異なり、親衛隊の仕事を行なっている。しかし性格上不真面目な部分が目立つ人物なので、副隊長のリデルの雷がしょっちゅう落ちているという。また、リデルの愚痴は日常茶飯事。それを笑い話にしている彼は、ある意味で大物すぎる。
「あいつは……」
手紙に書かれている文章に、エイルは苦笑してしまう。そもそも、試験の時から他人とは何処か違っていた。常人を逸脱しているというべきか、彼に「常識」という言葉は、存在しない。
だからこそ様々な場所を巡る旅で、生き残れたのだろう。同種の特徴を持つラルフが彼と同じことを行なったら、半月で野垂れ死にか病気に罹っている。そう考えると、アルフレッドは実に逞しい。
「しかし、愚痴が多い」
手紙に書かれている半分以上が愚痴。残りの半分が、クローディアの状況と周囲の人達の生活状況だ。
だが望んで親衛隊の一員になったのだから、頑張って仕事を行なってほしいものだ。何より、クローディアの王家で存命なのは女王シェラだけなのだから。そのシェラの身に何かあったとしたら、クローディア自体が崩壊してしまう。だからこそ、彼女を護らないといけない。
その点を本当に理解しているのだろうか。エイルは手紙に視線を下ろしつつ、溜息を付く。やはり、一言注意しておくべきだろう。いつまでも生温い考えでは、隊員の務めは果せない。それに何度も怒られている隊員がいるという噂が広まったら、親衛隊はいい笑いものになってしまう。


