メルダースの卒業試験を一回でクリアは難しい。だからといって、最初から諦めて勉強しないわけにもいかない。それに、万が一という場合も考えられる。だからこそ、皆は必死になって勉強を行う。
いや、これが正しい理由というわけではない。彼等が持つプライドが身体を動かし、はじめから諦めるのも情けない。また、諦めている生徒がいることがクリスティの耳に入ったら、それはそれで恐ろしい。
そのような複数の要因が働き、卒業試験を向けて勉強をしている。勿論エイルは真面目に勉学に勤しんでいるが、それと同時にラルフも頑張って勉強していく。流石に、彼も真剣に取り組む。
先程まで面白おかしく会話をしていたエイルとラルフだが、今は真剣な表情で知識を吸収していく。また、合間を見て何度も復習を行い知識の漏れを最小限に留め、卒業試験に控える。
しかしラルフは長時間の勉強に慣れていないのか、途中で集中力が切れ飽きてしまう。だが、エイルの殺意が加わった鋭い眼光で黙らせる。今、勉強に頑張っているのはエイルとラルフだけではない。
この場所で彼が暴れだした場合、他の生徒に迷惑を掛けてしまい勉強の邪魔になってしまう。エイルは無言の圧力でそれを未然に防ぎ、自身も勉強を続ける。お陰で、勉強が捗ったという。
◇◆◇◆◇◆
その日の夜。
エイルは私室で、卒業試験に向けての勉強を行っていた。だが疲労の蓄積が限界に達したのか、暫しの休憩を入れる。
昨年までの彼は、何処か卒業試験を気楽に考えていた。自分がその状況に置かれると思った以上に苦労が多く、下手すれば過労で倒れてしまいそうだ。また、確実に睡眠時間が減った。
エイルは椅子に座りつつ、大きく伸びをする。そして凝り固まった肩を解すように、肩を揉んだ。
「さて……と」
椅子から腰を上げると、そのまま寝台に横たわる。といって、睡眠を取る為に横たわったわけではない。
彼は枕の横に置いてあった一枚の手紙を手に取ると、封筒から中身を取り出す。この手紙を送った主というのは、クローディアの国境で出会ったアルフレッド。彼はエイルがメルダースの生徒だと知っているので、面白半分でこのように定期的に手紙を送ってきている。


