そして――
その日を迎えた。
両者の決闘で使用される武器は剣。それも、切れ味抜群の真剣。武芸の経験を持ち合わせていないウィルソンのことを考えれば真剣を使うべきではないが、おかしな部分でプライドが高いウィルソン。真剣での勝負でなければ嫌だと我儘を言い、真剣での決闘を望んだ。
勿論、周囲は止めた。
しかし、ウィルソンは聞き入れない。
その為、周囲の者達はどなってもいいと思っていた。寧ろ、一回痛い目に遭った方がいいと考える。
そして決闘の結果は、あっけなかった。そもそも武芸の経験を持たないウィルソンが、レナードに勝てるわけがなかった。一瞬にしてレナードは相手の剣を落とし、勝負をつける。
だが、ウィルソンが素直に負けを認めるわけがない。身の丈に合わないプライドを持つ人物ほど、面度な人物はいない。ウィルソンは落ちた剣を拾うと、レナードに向かって斬りかかって来た。
しかしレナードは、その攻撃を簡単に避け剣を弾き返す。やはり武芸の経験がないウィルソンの攻撃は単調なもので、まるで幼い子供を相手にしているような罪悪感を覚えてしまう。
その時、ナタリーが両者の間に割って入ってきた。そして彼女はレナードの腕を両手で掴むと、懇願する。これ以上一方的な展開の決闘を続けて欲しくないし、見たくないという。
流石に、ナタリーの言葉は強かった。レナードは長い溜息を付いた後、剣を鞘に納めると、勝負が付いているのでこれ以上の争いは無用とウィルソンに言い、彼も剣を鞘に納めるよう頼んだ。
レナードの言葉に、ウィルソンの御付達は胸を撫で下ろす。彼等にしてみても、自分の主人がやられるのを見たくなかったからだ。それだけ、一方的な決闘だった。そしてレナードが手加減してくれなかったら、命を落としていた可能性が高い。しかしそもそもの原因はウィルソンにあり、所構わず女性に手を出していなければこのような結果を招かなかった。
今回の件は、流石に御付の者達もウィルソンに注意を行なった。このような人物であっても王家の人間なので、命を落とした場合、国の将来が危なくなってしまう。それに彼はいい噂を持っていないので、彼の死と同時に噂に尾鰭が付き、女好きの最悪王子として世界中に話が広がっていた。


