それを聞いた相手は意外という顔を作るが、エイルは嘘をついていない。そもそも、つく必要がないからだ。そんな彼は台本でペシペシと叩くと、早く台詞の練習をはじめよう促す。

 エイルの促しに、相手も練習を開始する。本当は長々と会話を続けていたいが、そのような暇はない。二人は同時に台本を開くと、それぞれの台詞を言い合い練習を行っていった。

 途中、台詞を持つ生徒達が二人の周りに集まり、同じように練習をしていく。その後、動きを入れ通して練習を行なった。




 全員での練習は、三時間にも及んだ。それにより練習が終了すると同時に、数人の生徒が倒れてしまう。その生徒達は担架で運ばれ保健室で休み、残りの生徒が後片付けを行なった。

「ハッピーエンドか」

「どうした?」

「こういう終わり方って、いいものだな……って思ったんだよ。所詮は、物語なんだけどね」

「俺も好きだ」

「アンハッピーは、哀しいからね」

 その意味深い言葉に相手は不思議そうに首を傾げていたが、その意味を聞くことはしなかった。相手にしてみれば言葉の裏側に深い意味が含まれていても、聞いても仕方がないと思ったからだ。

 今は、練習に使った物を片付けないといけない。二人は軽い口調で会話を続けながら、片付けを続けていく。

 そして全ての物を片付けた後、数人の生徒が集まり、再度確かめの目的で台詞の練習を行なった。それは学園長クリスティが満足する演劇を行い、テストの免除を確実のものにする為。

 これから二週間が勝負。

 全員がひとつの目標に向かい、突き進んでいった。