何とラルフの足下に、硬い石が転がっていた。運悪くそれに躓き、顔面から激突してしまう。
しかし、救いを求めてもエイルは建物の中。ラルフは目元にちょっぴり涙を浮かべながら立ち上がると、パタパタと土を叩きエイルの後を追う。さもいつもの出来事のように振舞いながら。
その後二人は、演劇の内容について語っていく。そして眠りに付いたのは、明け方寸前だった。
◇◆◇◆◇◆
今日の演劇の練習は、午後から。午前中はいつもより数倍難しく、難解そのものの授業が行なわれ、生徒達の頭を激しく掻き回し混乱させる。それが影響してか、多くの生徒が演劇の練習に身が入らない。
「大丈夫か?」
「今日の授業は、特別に難しかった」
「そうだったね」
「エイルは、頭がいいから」
クラスメイトの言葉に、エイルは苦笑しつつ頭を振る。そして彼も、今回の授業は難しかったという。
そもそもの原因は演劇の練習に疲れ、予習を行なっていなかったからだ。だが、全てを理解できなかったわけでもない。エイルにしてみれば、後で復習をしておけばいいと考えていた。
「先生達、本気なのかな」
「本気?」
「演劇の為に、授業が少し削られているじゃないか。その穴埋めという意味で、厳しい授業をやっている」
「ああ、そうかも」
「だよな」
エイルの言葉に、相手は反射的に食い付く。
確かに、相手が言っている言葉は正しい。何より彼等が通っているメルダースは、世界最高峰の学び舎。中途半端でいい加減な授業が行なわれるわけがなく、寧ろ厳しくて地獄に近い授業が普通だった。
そして今回、演劇が加わっている。それにより本来の授業時間が削られ、教えるべき内容が教えられない。なら、短時間で詰め込んでしまえばいい。そのような考えが教師達の間にあるのか、徹底的に生徒達に詰め込んでいく。お陰で、教師達が悪魔のように見えてくる。


