エイルは片手で力強く柄を握り締めると、ビシっと構える。流石父親から剣を学んでいるだけあって、構え方は実に様になっていた。父親との練習の時は二本の剣を使用しているのだが、一本の剣で訓練することを苦手としているわけではないので、器用に剣を扱っていた。
「凄い」
「そうか」
「かっこいいよ」
「有難う」
ラルフに褒められるとこそばゆい感じがするが、嫌だという気持ちはない。それに彼は、嘘を付いてまで相手を褒めるということはしない性格の持ち主ではないので、軽い口調で礼を返す。
「えい」
「うお!」
いつものからかいという意味で、ラルフの目の前で剣を振る。距離を取っているので相手を傷付ける心配はないが、ラルフは大袈裟に避ける。その面白い仕草に、エイルはケラケラと笑う。
「油断できないなー」
「大丈夫だ。お前を殺さないよ」
「殺されたくないよ」
「冗談だよ」
「冗談でも酷い」
「今回は、そうかもしれない。悪かったよ。でも、本当に嫌っているのならこういうことはしない」
意味深い言葉であったが、ラルフは瞬時に意味を理解することはできなかった。しかし何度もエイルが言った言葉を繰り返していくと、やっとエイルが言いたいことを把握できた。
これは、エイルなりの言い方。なんだかんだでラルフと一緒にいると、飽きることがない。それに刺激的で、楽しい学園生活を送ることができている。その面では、感謝をしていた。
「嬉しいな」
「その顔は、何だよ」
「いいじゃん」
嬉しさを隠し切れないのか、ラルフはニヤニヤと気持ち悪い笑い方をする。彼の表情にエイルはいつものように愚痴を飛ばすと、中断していた剣の練習をはじめる。一気に、緊張感が漂う。不真面目な態度を取っていたラルフも瞬時に感じ取ったのか、顔は真剣な表情に戻っていた。


