「じゃあ、さっきの続きから」
「了解」
「わかりました」
役を演じる生徒達が、次々と返事していく。しかし一人だけ、返事を返せない人物がいた。その人物はラルフであり、上手く演じられないことと緊張感が混じり合い身体がガチガチだった。
「どうした?」
「い、胃が」
「お前も、胃痛になるんだ」
「酷い言い方……」
「でも、こんなので胃痛になっているのなら、本番になったらどうなってしまうのか。心配だよ」
エイルの言葉に、周囲の者達が一斉に頷く。だがラルフは胃痛くらいでどうこうなる人物ではないので、ラルフの意見を無視し練習は進んでいった。それに、長く休んでいる余裕はない。
「動き、付けてもいいか?」
「いいんじゃないか」
「休憩時間に台本を読んで、動きを考えてみたんだ。ちょっと、観て感想を言ってほしいな」
「いいよ」
「参考にする」
仲間達の言葉に快くしたらしく、台詞を言いつつ大袈裟に演じていく。最初はその演技に周囲は苦笑していたが、長く見続けていると面白みを見出す。結果、感想を言う前に大半が噴出していた。
「お、おい」
「いい演技だよ」
「そうそう、面白い」
「なら、何で笑うんだ」
「いやー、顔付きが……ね」
「うん。顔が」
先程の顔を思い出したのか、再びラルフ以外の生徒達が噴出す。中には、腹を抱えている者もいた。
演じていた生徒は、大勢に笑われたことに激しくへこんでしまう。自分では相当頑張ったと思っていたのか、ショックで立ち直れない。その見事なへこみっぷりに、次々と「すまない」という言葉を言い、慰めていく。するとその言葉に元気を取り戻したのか、スクっと立ち上がり演技を再開する。


