相手は、ケイン・エバース。
性格はのほほんっとしているが、嫌味が少ない相手だ。特にエイルの場合、彼は友人であるので、心の中で彼の幸せを願う。それにヒロイン役の女子生徒は、堅苦しい部分があるがなかなかいい子だ。
ヒロインの役に就きたいと、勝手に盛り上がっている女子生徒と全く違う。健気で可愛くて――彼女の性格を思うと「協力したい」という気持ちが湧き出してくる。エイル以外の全員は一斉に歯を見せると、満面の笑みを作った。
「俺達が、前面サポート」
「これ、条件でいい?」
「……お願いします」
彼等の熱意を受け入れ、相手はヒロインの役を引き受けてくれる。これにより最大の難関だったヒロインが決まったが、同時に恋愛の相手ケインをどのように振り向かせるか計画を練らないといけない。しかしこの件は、演劇より簡単。エイル以外の者は、恋愛に長けている。
「あっ! 名前は?」
「ローラです」
「ローラちゃんか。で、こいつが主役だ」
「知っています」
「で、何か意見ある?」
「何を言えばいいでしょうか」
彼等の言葉にキョトンっとしているローラの態度に、周囲は一斉に笑い出す。どうやら他の女子生徒と同じ反応を見せると期待していたらしいが、ローラは全く違う反応を見せてくれた。
その反応に、周囲はエイルの肩をバシバシと叩く。一方エイルは、苦笑いを浮かべていた。
「悔しいか」
「何が」
「モテモテのお前が」
「違う!」
「ムキになるな」
「なっていない」
「こんな奴だけど、宜しく」
圧倒されつつあるローラであったが、一度引き受けた役なので一生懸命にやると言ってくれた。するとエイルが、珍しく積極的な行動を取る。それは彼女と二人で話したいというものであったが、嫌らしい感情が混じっているのではなく演劇とケインについて話したかった。


