「お前の意見は、俺達は聞き入れる」
「……有難う」
「だけど、言えるか?」
勿論、言えるわけがない。彼女達の現在の状況を考えると、この意見を言うと一斉に攻撃を食らう。
しかし自己主張はきちんとしておかないと後々後悔してしまい、それだけキスシーンは却下したかった。エイルは自身の命の意見を感じつつも、彼女達に自分の意見を伝えることを決意した。
「あの……」
「何かしら」
「ひとついい?」
「いいわよ」
エイルの呼び声に、一斉に振り返る。一糸乱れない行動に素直に驚いてしまうが、感心している場合ではない。思っていることを正確に伝え、少しでもいい方向に運ばないといけない。
何度も咳払いを繰り返す。
そして、意思を伝えていった。
「じゃあ、籤は……」
「止めて欲しいな」
「バゼラード君が、そう言うのなら……」
「なら、私はピッタリね」
「羨ましい」
エイルが主張した意見に当て嵌まる女子生徒は、満面の笑みを浮かべる。彼が提案した内容というのは、要はマナに似た女の子がいいということだった。長い黒髪で青い瞳。そして、性格は物静かで大人しい。しかし残念ながら、先程の子は外見は似ていても性格面が当て嵌まらない。
彼は「大人しい子」というのを求めたが、彼女は賑やかで元気がいい女の子。彼女達は肝心な部分を忘れてしまっているので、関係ない人物が名乗り出る可能性が高い。業を煮やしたエイルは、自分で選ぶと言う。
「仕方ないわ」
「じゃあ、選んでいく」
「私は?」
勿論、エイルが却下したことは言うまでもない。流石、キスシーンが掛かっているので妥協は許さない。それだけを言い残すとエイルは、これからマナに似た女の子を捜しに行くという。しかし一人では心許無いので彼はクラスメイトの同性を数人連れ、学園中を彷徨う。


