「試験は、どうだった」
「無事に、受かりました」
「そう。良かった。で、報告は?」
「ほ、報告?」
「そう。クローディアの状況を、知りたいのよ。きっと、面白いことがあったのでしょうね」
「ええ、まあ……」
「なら、教えなさい」
クリスティの言葉に、エイルは引き攣った笑いを浮かべてしまう。そして横で静かに見守っていたジグレッドも、複雑な心境であった。こうなると、クリスティは好奇心の赴くまま突き進む。
その時、フレイの言葉を思い出す。クリスティはという人物は、勝手に首を突っ込むと――
エイルは項垂れ、クリスティの性格の悪い面を嘆いた。しかし、だからといって話さないわけにもいかない。
それにクリスティには、クローディアの現在の状況を知って欲しかった。また、あの馬鹿公子ことミシェル・エルバードの件も話をしないといけない。エイルは丁寧に、自分が故郷で体験したことを話していく。その間、クリスティは口許を怪しく緩めながら聞いていた。
一見、自分の好奇心を満たす為にエイルの話を聞いていると思われがちだが、それは大きな間違え。
クリスティの日頃の振る舞いが誤解を招いているが、彼女は正しく物事を把握している。ただ、その表現方法が一般の認識とかけ離れているだけあって、それを理解している者は彼女の力を借りようと努力する。勿論エイルも彼女に気に入られようと、日々勉学に勤しむ。
しかし、全員がそれを理解しているわけでもなく、毎年のように彼女が原因で涙を流す者が続出する。
果たして、今回は――
エイルの話が終了しても、クリスティからの言葉はなかった。彼女は深紅の髪を弄くりつつ、珍しく考え事をしている。
この件は彼女にとっても大事なのだろう、クリスティからの言葉を待つエイルは生唾を飲む。
どれくらいの時間が経過したのか、徐にクリスティが口を開く。その口調は普段の声音と違い、低音で厳しく鋭い。また顔から微笑は消え、完全に無表情だ。そして彼女は放つオーラは冷徹な一面が含まれ「紅い魔女」と呼ばれ恐れられている彼女の真の姿が、其処にはあった。


